●変形性膝関節症の治療

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●変形性膝関節症の治療



変形性膝関節症の場合、一度すり減ってしまった関節軟骨は元に戻すことが難しく、風邪が治るように完全に元の状態に戻せるというものではありません。
しかし、痛みがやわらぎ自由に歩けるようになったり普通に生活できるようになるなど、機能を回復してより良い状態にすることは可能です。それを「治った」と考え治療の目標とします。

■治療の方法

治療方法は大きく保存療法と手術療法に分けられます。
症状の程度などにより治療方法が決められますが、基礎療法はいずれの場合でも必ず行うべきもので、また症状が改善した後もまた悪くならないために継続して行っていく治療法です。

<保存療法>

○基礎療法
  日常生活上の注意
  肥満の改善
  運動療法
○薬物療法
  鎮痛薬の内服、外用、座薬、関節内注入など
○物理療法
  温熱療法、湿布など
○装具療法
  安定や矯正のための装具使用 足底板、
  サポーター、杖など   

<手術療法>
 関節内廓清術
 高位脛骨骨切術
 人工関節置換術    など

■基礎療法はひざと上手に付き合う法

すり減った関節軟骨は元には戻せませんが、ひざを適切に手入れすることで不都合を感じずに生活できるよう改善することはできます。そのための自分で行う治療が基礎療法であり治療の基本となります。
ひざと一生つきあっていく、自分で治す、という意識が大切です。

○日常生活上の注意・・・負担をかけず、衰えさせず
ひざに過度の負担をかけず、またひざを支える筋力などを衰えさせないことが原則です。
・痛みがあるときはひざに負担をかけないようにする。
  正座を控える。
   避けられないときは正座用補助具などを使う
  階段の上り下り。エレベーターや手すりを使う
  立ち上がるときなど、何かにつかまる
  洋式トイレを使う。簡易に洋式にできる便器もある。
  重い荷物はカートなどを使う  など
・保温に注意する
・適度な活動を生活習慣にする。安静にしすぎると筋力や可動域が衰え、結果として状態を悪くする

○肥満の改善・・・正しい食生活と無理のない運動
ひざには体重の数倍の荷重がかかります。ひざにかかる負荷の軽減のためには肥満は禁物です。
・無理なダイエットは栄養状態が悪くなり関節軟骨や筋肉を衰えさせる
・バランスのよい食事内容と規則正しい食習慣の確立が大切
・ひざが悪いと運動不足になりがちなので、ひざに負担のかからない運動を無理なく行う

○運動療法・・・使いながら手入れしよう
適度な運動をすることで、ひざを支える筋力を鍛え関節可動域を維持し、痛まず長く使えるひざを目指します。
また血行がよくなり関節軟骨などの栄養状態も良くなるので痛みをやわらげる効果も期待できます。
やり過ぎは痛みを悪化させるので、運動後に痛みが続くような場合は運動量を減らすなど注意して行います。
運動は医師の指導を受けてはじめた方がよいでしょう。

・太ももの筋力アップ
筋肉を使うトレーニング。ひざが痛まないよう関節に負担をかけないように太ももの筋肉を中心に鍛える
  太もも 大腿四頭筋
  お尻    大殿筋、中殿筋
  内股    股関節内転筋
  ももの裏側 ハムストリングス
  ふくらはぎ 腓腹筋
  すね    
  腰     腸腰筋

・ストレッチ
ひざを動かすトレーニング。ひざの拘縮をできるだけとることと予防することが目的。また関節包や靱帯、筋肉などに刺激を与え新陳代謝をよくさせる

・ウォーキングなど
ひざに重みをかけるトレーニング。弱ってしまった軟骨や骨などのひざの組織を元の強さに戻すために行う。
歩くことは動物の基本なので徐々に重みをかけることで自然と強さを取り戻すことができる。
心肺や循環機能など身体の機能を維持・増進し健康を保つ効果もある。
  平坦で歩きやすい道を選ぶ
  歩行に適した靴で
  20分程度からはじめ、慣れたら時間や速度をアップ
  無理をせず、定期的に行う
・その他の運動
水泳、水中歩行、自転車こぎなど

■痛みが強いときは薬物療法で抑える

治療は基礎療法が中心ですが、痛みが強くはげしいときは薬で痛みをとり炎症を抑えます。腫れや痛みで動けない、痛みで運動療法がはじめられない、などの場合の補助的療法として有効です。また関節水症などで炎症が強いと関節の破壊が進む場合があり、それを抑えるために使用することもあります。
薬は副作用が出ることもあるので、副作用に注意しながら服用し、医師にキチンと伝えることが必要です。
自分の判断で服用量を勝手に増やしたり減らさないこと。またその他に服用している薬がある場合は必ずその旨を伝えることが大切です。

○消炎鎮痛剤
胃腸障害や、長く飲み続けると肝臓や腎臓などにも副作用が出ることがあるので副作用に注意して使用する。飲み薬の他に、塗り薬、貼り薬、座薬などがある。

○関節内注入
関節水症による炎症がひどい場合には注射器で水を抜く「関節穿刺(かんせつせんし)」を行うことがある。また、炎症を抑えるために関節軟骨の成分であるヒアルロン酸を注入する場合もある。化膿性関節炎を起す危険性もあるので炎症がひどいときのみ行う。ステロイド剤を注入する方法もあるが、効果は強力だが非常に強い副作用があるため、通常は第一選択薬とはしない。

■痛みや炎症を抑える物理療法

患部を温めたり冷やしたりして痛みや炎症を抑えるもので、自宅でも行うことができます。痛みや腫れが激しいときや熱を持っているような場合は、冷やすことが炎症を鎮める効果があります。
反対に熱や腫れがなく慢性的に痛むような場合には、温めることで血行がよくなり痛みをやわらげる効果があります。

○温熱療法
 病院・・・電気、赤外線、レーザー
 家庭・・・温湿布、入浴、ホットパック など
○寒冷療法
 アイスパック など

■ひざを支えたり矯正する装具療法

変形性膝関節症が進行してO脚変形が進むと、ますますひざの内側の関節に負担がかかり関節軟骨の破壊が進行します。(O脚の場合。X脚は内外が逆になる)
このO脚変形をサポーターや足底板などで支えたりなるぺく真っ直ぐに矯正しようとするのが装具療法です。
またサポーターは保温効果もあります。

○足底板
足裏に外側の方が厚くなっている楔状の中敷のようなものをつけて、ひざ関節の荷重面を外側よりに変える。
(O脚の場合、X脚は内外が逆になる)靴の中敷のように、あるいは足の裏に装着する。
医師に相談してその人にあったものをオーダーメイドする。

○サポーター
ひざがガクガクしたり力が入りにくいような場合は支柱付など固定性・支持性に優れたしっかりした
ややきつめの装着感のサポーターがすすめられる。
保温が目的の場合は、比較的ゆったりしたやわらかいサポーターがよい。
O脚を矯正するためのかなり大きく頑丈なサポーターもあるが、みためもつけごこちも相当ごつく、ひざの曲げ伸ばしもしづらくなり装着の抵抗感が大きい。

○杖
変形性膝関節症が進行した人やころぴやすい場合には杖の使用も有効。ひざの負担が軽減されるので悪化を防ぐことになる。誤った使い方をしている人も多いので、正しい使い方を医師や理学療法士などに指導してもらうとよい。
普通のT字やステッキのほかに、足の部分が3点・4点支持になっている安定の良いものなどもある。
杖に抵抗のある人にはおしゃれなステッキなどもある。

■手術療法

変形性膝関節症の大部分は運動療法などの保存療法で症状が改善されますが、保存療法では効果があがらないケースも中にはあります。さらに痛みなどで日常生活に著しく不自由があるような場合には手術療法が検討されます。
ただし手術を行ったとしても効果は必ずしも永久に続くものではなく、手術後は一定期間入院しての固定やリハビリが必要で、感染症や合併症の注意が必要であったり、また片方のひざを手術するともう片方のひざも手術が必要になる場合もあります。
手術後も運動療法などの基礎療法は継続的に続ける必要があります。
手術のメリット、デメリット、制限などをよく理解した上で決定することが大切です。

○関節内廓清術
関節鏡を使ってギザギザになった半月板や関節軟骨の凹凸、骨棘などを切除したり整えたりする手術。主な痛みの原因が半月板損傷や骨棘で関節の変形があまり進んでいない場合などに行う。感染症などの管理があるので数日の入院が必要。

○高位脛骨骨切術
O脚変形が進んでいる場合に、手術によってX脚気味に矯正し関節内側の負荷をへらして痛みをとる。脛骨を切って金属などでX脚気味に固定する。進行した変形性膝関節症ではよく行われる手術。「高位」とは脛骨の関節面から2〜2.5cmの部分で血管が豊富で骨のつきがよいとされている。骨がくっつくまで固定が必要なので長期の入院と療養が必要。骨がついた後もしばらくは松葉杖などが必要。

○人工関節置換術
悪くなってしまった関節を、金属やプラクチック、セラミックなどでできた人工関節と置換える手術。上下の関節面を削り人工関節を埋め込む。高位脛骨骨切よりも入院・療養期間は短い。関節変形が高度の場合に行われ、痛みはほぼとれる。が、ひざの曲がる角度が制限されたり強い運動は難しく、人工関節の耐用年数は15〜20年と言われゆるみや破損が生じて人工関節を入れ変えなければならなくなることもある。また術後、感染症や血栓症などを起す場合もある。


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